El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

ルックバック

単純に面白いと思ったが、いろいろ論点がある漫画だった

三連休なのに台風で動けずKindleで漫画をよむ、その①

漫画家を目指す二人の女の子のビルドゥングス・ロマン(成長物語)でもあるのだが、途中で片方の女の子が通り魔的な殺人の被害者になる。で、嘆き悲しむところからいったん時間が戻ってパラレルワールド的に別の生き方をしていたら・・・的な流れがあって、最終的に切ないもとの世界に戻る。150ページほどの漫画なのに、この複雑な流れがきれいに収まっている。二つの世界をつなぐ4コマ漫画のスリップの使い方もみごと。

いろいろ論点があったらしいというのは

  • 全体の流れがタランティーノの映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」(観ていないのでこれから観る)へのオマージュらしい。最終コマにDVDのパッケージがちょこっと描かれている。
  • 通り魔的殺人者の描き方に対して斎藤環(精神科医)がネットでモノ申して修正されたらしい(原版はどうだったのか今ではわからない)。
  • クリエイターが理不尽に殺され、殺人者の動機が自分のアイデアをパクられたという思い込みだということで、京都アニメーションの事件を織り込むことへの賛否。

まあ、興味ある方は下のリンク先を読んでみてください。