El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

失われた時を求めて4

アルベルチーヌと出会った「私」

 病身の「私」は祖母の付き添いで保養地バルベックに初めて滞在。浜辺に群れるカモメにも似た美少女たちのグループ「花咲く乙女たち」。その一人、アルベルチーヌが、「私」の人生のヒロインに…。

というわけで、アルベルチーヌが登場しホテルで寸止め。スワン家の方とゲルマント家の方が二つの軸だとするなら、語り手の人生は二つの軸の間で動いていく・・のだろうか?13分の4ではまだまだ本当の面白さはわからない。(最後までわからないのでは?という不安はあるが)

来週からは5/13「第三篇 ゲルマントの方 I」に入る。

途中、抜き書きしたのは真ん中あたり(PDF48%)の次の文章。

人生において古い枠組みから新しい枠組みへパラダイムシフトが起こるときのわれわれの心理の変化について。

それは、私たちが恐れていたすべての重大なことによく起こるので、私たちが初めそうしたものを恐れたのは、それが自分の執着しているいくつかのより些細なことと両立しないのを知っていたからだが、しかし私たちは執着しているものを奪われるのではなくて、実はそれから開放されていくのだ。

 重要なことを知る以前には、私たちのすべての関心はどの程度までこれをある種の快楽と両立させられるかを知ることにあったが、しかしその重要なことを知ってしまうと、たちまちのうちに、かっての快楽は快楽ではなくなってしまうのである。