El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

受験の国のオリザ

ペルソナ使い分け

受験の国のオリザ

受験の国のオリザ

 

 平田オリザ、この人の言うことは面白い。演劇に還元して語るのだが、ペルソナを演じることと、その人になりきることとどちらがいいか?これまでの日本では後者、つまり誠心誠意タイプが誠意のある人間と考えられていた。しかし、その場その場のペルソナを上手に使い分けていくこと、そうでなければ、人生の多層性も開けないし、多文化社会で生きていくこともできまい。社員であったり、学会長であったり、夫であったり、父親であったり、息子であったり、それぞれが真の芯の自分と整合性を持っていなければならないと考えるととても無理だ。それこそ、多くの摩擦を生む。ペルソナ、演じる気持ち、そんな余裕が必要だろう。これは、学会でいいかけたことにも似ているし、平野啓一郎のディブという考えとも近い、のでは。