El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

佃島ふたり書房(Audible)

馴染みの土地は出てきたけれど

Audibleで聴きました(9時間6分)。Audibleなので最後まで行けたものの、大逆事件・関東大震災・満州・太平洋戦争というお馴染みの時代背景の中に佃島と古本屋をポンと入れて、佃大橋ができて佃島の渡しが廃止されるまでを描いた、まあそれだけの話で、主人公・梶田の生き方も不自然。NHKの朝ドラのハズレだったものに近い印象...

当時の佃島自体は描かれるような孤島ではなく月島と一体化していたし、相生橋で越中島~門仲にもつながっていたわけで、落語に出てくる佃島の情緒はすでになかったかと。10年前くらいは隅田川テラス沿いにウォーキングしていたので馴染みの町名が懐かしかったが、すでに高層マンションが立ち並び、それらでさえすでに老朽化が始まっているとという、時の流れ。