El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

ジェネリック vs. ブロックバスター

 永遠のいたちごっこ

新薬の研究開始から製品として成功する確率は3万分の1、そこまでの期間は7~17年、開発コストは300~1000億円。1000億かけてハズレもあるわけでまさに創薬はハイリスク・ハイリターン。

しかし、当たればどうなるか・・・例えば2015年の日本国内売上、上位4製品(ハーボニー、アバスチン、プラビックス、ソバルディ)はいずれも国内年間売上が1000億円以上なので、製造原価は価格の20%程度なので当たれば1品目で日本だけで800億円の利益を生む。当たった新薬をブロックバスターと呼ぶ。もちろん利益で次の新薬開発に乗り出したり、有望なベンチャー企業を買収したりする。

新薬の特許は20年。20年経つと、他の製薬会社がジェネリック薬を製造販売できる。ジェネリック薬は先発医薬品と同一の有効成分を同一量含有し、効能・効果、用法・用量が原則的に先発医薬品と同じという条件を満たすことで簡略な薬事承認を得られるため、開発期間は3~5年、開発コストは1億円程度で済む。薬価は先発医薬品の50%と定められている。

先発製薬会社は効能を追加したり(用途特許)合剤化したり(配合剤特許)して特許期間を伸ばすことができるがそれでも+5年まで。そこで先発製薬会社が子会社形式などを取り製造特許使用を許諾したいわゆるオーソライズド・ジェネリック薬AG(【2021年】オーソライズドジェネリック薬価一覧表|ヤクタマ (yakuzaishi20.com))で対抗する。流れとしてオーソライズではないジェネリック薬はAGメーカーに押されてコストダウンしなければ儲からない構造となりさまざまなコストダウンの果てに問題おこしたりしているのかなと。

一方で、日本には根深いジェネリック不信があるのかジェネリック比率はアメリカの92%、欧州諸国の70~80%に比べて20~30ポイント低い。そこで2017年から政府の掛け声でジェネリックのシェア目標80%を設定し、ジェネリック比率によって医師の処方料や薬局の調剤料を変える作戦。医師は成分処方し、薬局でジェネリックを勧められるのはそういう仕組み。消費者というか患者の目線はないのだが、どの薬を選ぶのかを患者に押し付けているという逆説。