El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

ノイエ・ハイマート

ノイエ・ハイマート=新しい故郷

故郷を失くして、新しい故郷を求めてさまよう、そんな人々。世界中で起こる難民化。中東(主にシリア)からヨーロッパを縦断して北欧やドイツに流れ着く人々の旅を主軸に、カンボジアや第二次世界大戦末期の満州の日本人が難民化した。

そんな場面場面が歴史的文脈ではなく、その場を難民として苦難を味わう人の有様として描く文章の集成からなる本。

この本の後にも、ウクライナがありガザがある。独裁政権→蜂起→民主化→独裁者の出現→弾圧→難民化、そんな連鎖がとまらない。逆説的に、日本という島国に守られてあることの幸せを感じてもみたり。