El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

作家の老い方

Que vais-je faire? わたしはこれから何をするのか?

冒頭の芭蕉の一文を除いて、近現代の作家が「老いと死」について書いた文章のアンソロジー。全33編。だれがまとめたのか来歴がはっきりしないが、草思社編集部編となっている。

好みの文章に〇をつけていくと7編となったー芭蕉・堀口大學・松浦寿輝・遠藤周作・吉田秀和・穂村弘・鷲田清一。さらにベスト3となると芭蕉・堀口大學・松浦寿輝。

芭蕉

もらふてくらい、こふてくらひ、やをらかつゑもしなず、としのくれければ

   めだたき人の数にも入む老いのくれ   芭蕉

堀口大學 酒。2ページの短文。このようなのどかな飲酒家でありたい

松浦寿輝 孤蓬浮雲。15ページにもおよぶ文章。Que vais-je faire?(わたしはこれから何をするのか? QVJF)をキーワードに。青年期のQVJF1と老年期のQVJF2の違いを鮮明化する。QVJF2が1の残り物などではなく、老人は老年期にあたって、それを再定義しなければならない・・と結ばれているのだが、その結果は気になるところではある。なぜならQue vais-je faire?はまさに私自身の問いでもあるから。松浦寿輝は1954年生まれでまあ同年代。