El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

ムツゴロウの青春記

訃報 畑正憲氏 1935年〈昭和10年〉4月17日 - 2023年〈令和5年〉4月5日 享年87歳

若い人は知らないか、動物王国の奇矯なおじいさんという認識くらいはあるのかも、あるいは麻雀の強豪?

「ムツゴロウの青春記」は1971年の刊行で、私は中学2年生。この本は、大分県日田市での畑正憲氏の中学・高校・受験の時代のできごとをベースにしたエッセイ集で、当時の自分(だけでなく多くの中高生もだが)にとっても大きなテーマであった恋愛・文学・受験勉強が盛り込まれており、当時は強いシンパシーを感じて何度か読み、その後の進路や恋愛観に影響を受けたというボンヤリとした記憶がある。

その畑正憲氏の訃報に接して「ムツゴロウの青春記」をざっくり読み直してみた。まあ、影響を受けたのもムベなるかなといった感想。よくある「記憶とぜんぜん違う」というようなことはない。まあ自分にとっても青春の一ページといえる読書だった。

その後の北海道移住と動物王国、さらにバブル期の東京動物王国とその破綻などを乗り越えての87歳での訃報に時の流れを感じつつ・・・冥福を祈りたい。

当時の青春の一ページの読書の流れをメモ

北杜夫(どくとるマンボウ)・遠藤周作(狐狸庵)・畑正憲(ムツゴロウ)→司馬遼太郎・五木寛之→北山修・伊丹十三