El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

パーソナル トップ10レビュー(2022)

2022年は、世界的には、コロナ禍3年目・ロシアのウクライナ侵略で、なんとなく明確な未来像が描けないままに過ぎていく。5月に65歳になり「日々老化」という感じ。通勤回数がリモートワークで激減したままのため電車読書ができないかわりに、ウォーキング時にAudibleを聴くことが増えた。そんな2022年のブックレビューから選ぶパーソナル・トップ10レビュー。あらためて、一年は短い

 

①あらためて、平野啓一郎の才能におどろく

書籍やAudibleで2022年にもっとも読んだ小説家が平野啓一郎。7月に読んだ「マチネの終わりに」から始まり、ちょうどテレビドラマとシンクロした「空白を満たしなさい」、そして今年映画化された「ある男」、年末に向けては「かたちだけの愛」そして圧巻の「決壊」と、どれを読んでも面白いが、「空白を・・・」と「決壊」はアクがつよすぎる。まずは「マチネの終わりに」を福山雅治主演の映画とともに。

②「プーチンのロシア」から「ウクライナ危機」への読書

2021年、戦争の半年前からTimothy Sniderの著作を中心に読んで「プーチンのロシアはやばい」と思っていたのが2022年早々に現実化するという・・・驚きの予言的読書となった。

③COVID-19関連ではmRNAワクチン開発秘話を一通り読む

④「君の名は。」と「君の顔では泣けない」、男女入れ替わりが新展開!

「転校生(1972)」以来の男女入れ替わりというモチーフが新発想で生まれ変わった。爽やかな「君の名は。」そしてシニカルな「君の顔では泣けない」どちらも面白い。

⑤三体! 怒涛の中華SFにAudibleで80時間以上! 圧巻でした

⑥「古寺行こう」定期購読コラボ企画で奈良に京都にひとり旅

来年も10冊分の寺巡りは実施予定。

 

⑦哲学関連では「現代思想入門」が逆説的に哲学ばなれにつながる

おかげで哲学書・老後本・定年本の呪縛が解けるという好循環!インパクト大。

⑧伊良子清白を調べてきたことが学会発表につながる

ここで学会発表になるとは、意外な展開だった・・

 

⑨最新がん治療の矛盾がすこしずつ露見してきた

来年継続テーマ

 

⑩年末に「なりすまし」で「脳の中の悪魔」スザンナ・キャハランに再会

精神医療も、常に監視しておくべきテーマ 来年継続

⑪番外

読み残し・・・残り2冊読みきれず来年へ・・。大長編の部は、来年はその後「窯変源氏物語」へと進みたい。

参考