El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

古寺行こう(11)南禅寺・建仁寺・東福寺 行ってみた

二回に分けて行ってみた。禅寺には紅葉がよく似合う。

古寺行こう(11)は東山の臨済宗の三名刹、南禅寺・建仁寺・東福寺。

11月の後半、ちょうど紅葉のベストシーズンに、京都の紅葉スポットNo.1である東福寺に行ってみた。JR京都駅から一駅(JR奈良線)というアクセスの良さもあって平日にもかかわらずそれなりの人出。露店も出てちょっとしたお祭り。山門に登るのに千円、紅葉を見るのに千円と容赦ないが、まあ維持管理費用もそれなりにかかっているのだろうというみごとな紅葉林(写真)

同じ日に、祇園にある建仁寺にも。俵屋宗達の「風神雷神」で有名だが本物は京博にあり、お寺にはCanonが協力して作った精巧な複製がある。なぜこんな寺が花街の中に?と思うかもしれないが、明治の廃仏毀釈の影響で手放した広大な土地が花街になっていったらしい。

さて、月が代わって今日、12月16日にやっと南禅寺へ。かなり山際にあり琵琶湖疏水が境内を通っている。

寒い日で、冬枯れた感じもまた良い。

京都の寺の見どころは建物・庭・美術品(主として絵画)であることが多く、巨大伽藍や塔や仏像で度肝を抜かれる奈良とは一味ちがう。まあ、長い歴史の間に寺社も分割されさまざまに利権がからみあい、ということなのでしょう。京都に都があった期間は奈良の10倍以上なのだから。

それがよくわかるのが「塔頭(たっちゅう)」。これはいわば寺の中の寺だったもの。高僧が亡くなると墓所として作っていたものがいつの間にか隠居後の住処になり、分家の寺みたいになり。ま、いわゆる既得権益の維持?ということでしょうか。禅僧といえども・・・