男として泣ける・・・
老人文学いろいろあれど、妻が先にボケてしまう小説の白眉はこの耕 治人(こう はると)氏の「そうかもしれない」三部作。何度か読んだし、テレビでドキュメンタリーもやっていた。
妻がボケて買い物ができない、鍋を焦がすあたりから始まる「天井から降る哀しい音」。
妻の認知症はすすみ、すべての家事だけでなく、妻の入浴やシモの世話も夫である作家がやる事態に。夜中に粗相したお尻を拭いてあげる夫に対して、妻が「どんなご縁でこんなことまで・・・」んー、たまらん。
作家である夫も口腔がんになってしまい、妻はしかたなく施設へ。闘病しながらも妻のことを心配する夫のところを施設の介護者に連れられて見舞いにきた妻が、介護者から「ほら、ご主人ですよ」と言われて、じっとにらみ・・・「そうかもしれない」。うーん、泣ける。
テレビのドキュメンタリーでは夫の死後も元気そうで不敵な笑みを浮かべる妻の姿が・・・。