El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

双調平家物語(2) 栄華の巻1(承前)

「継体天皇」から「大化の改新」まで

平家物語の前提として院政時代があり、院政時代の前提として摂関政治の時代があり、摂関政治の時代の前に藤原氏以前の天皇の時代がある。というわけで、その前提の前提である、天皇の時代を「継体天皇」から「大化の改新」まで描きつくす。

教科書的な事実の羅列としての知識はあったが、その事実の周囲にうごめく人間模様は物語化することで初めて読み取ることができる。

継体天皇とその子供世代からはじまり、天皇家と臣(おみ)・連(むらじ)が婚姻でつながり、何系統にも分かれながら勢力と天皇位を競い合う6世紀・7世紀の日本。大伴ー物部ー蘇我ー中臣(藤原)という宰相の権力闘争と女帝や生前譲位などが絡み合う。

推古天皇、皇極天皇(斉明)という女帝が出現する条件も詳しい。