El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

転落の街(上・下)

ハリー・ボッシュ シリーズ(15) ボッシュ61歳(2011年)

ボッシュも61歳、だんだん私の年齢に近づいてきて、同じような悩み。再雇用やその延長・・自分でも捜査のキレがなくなってきたと感じたりもする。若いやつは仕事ができないと若いパートナーにつっけんどんな態度をとってしまう。老化をうまく描く。しかし、色恋は相変わらずで、まあこれはフィクションだから。

作者のコナリーは1956年生まれ、私が1957年生まれ、ずっと翻訳をやっている古沢嘉通氏が1958年生まれ。ボッシュは1950年生まれという設定なので、2021年時点では71歳ということか。

事件は、アーヴィングの息子の転落死事件と未解決事件斑案件の中からサイコパスによる大量殺人鬼の事件。どちらも少しだけAmazon Originalドラマに盛り込まれていたがほとんど関係ないのでドラマ全部見た後でも楽しめる。

20年前に迷宮入りした事件が例えばDNA鑑定のような新しいテクノロジーで洗いなおされて、犯人が判明し逮捕に。しかし、その20年の間にも多くの犯罪を起こしているわけで、そこらが切ない。古い酒を新しい革袋に入れると見えてくるものがある。