El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

ナイン・ドラゴンズ(上・下)

ハリー・ボッシュ シリーズ (14) ボッシュ59歳

LAの中国系住民と蛇頭(?)なのか三合会という裏組織。中国系同士の犯罪といってもLAで起こればLAPDが捜査しなくてはならない。ちょうど、元妻エレノアと娘のマディは6年もの間、香港に住んでいるという設定。エレノアは香港に住んでマカオのカジノで生計を立てているというのだが・・・そういったちょっとありそうもない設定からも、いつものボッシュ・シリーズとちがった荒唐無稽さが目立つ作品。

LAでの中国系酒屋殺しを裏組織に繋げてしまったことで、香港の元妻と娘にまでトラブルが飛び火。挙句に、ボッシュが香港へ飛んで・・・。

最終的には娘をLAに連れ戻して落着するのだが、ボッシュの猪突猛進がここでも不必要な死を招いてしまう。なにかいつも焦って話を複雑かつ暴力的にしてしまうボッシュ。カメラ付き携帯の使い方も不用意。まあ、それがボッシュといえば、そうなのだが。ちょっと残念な作品。

この後の作品では再び盛り上がるらしいのでそっちに期待。