El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

名画で読み解く ロマノフ家 12の物語

ロシア的、なんでもあり

現代ロシア=プーチンのロシアのことを調べていて、ロシアらしさとは何なのか、ぼんわりわかったような気がしたので、それを確認するためにざっくりとロシアの歴史を学べる本書を読んでみた。非常にわかりやすい。肖像画の時代でもあるので「名画で読み解く」のが大正解。

ロシアがいわゆるタタールのくびきから解放されて国の形をなすのがイワン雷帝の頃(1533-1584)で日本では戦国から安土桃山時代、ドイツ系のロマノフ朝になるのが半世紀後の1613年なので、以来1917年まで300年間がロマノフ朝。そこから、ソビエトが1917-1991の74年間。そしてプーチン時代がすでに20年。こうしてみると、ロシア的なものとはじつはロマノフ的なものなのかもしれないし、ソビエト政権もまたひとつの王朝にすぎなかったのかな。

不透明な政権交代、暗殺、夫殺し、妻殺し、親殺し、子殺し。なんでもあり。どこの馬の骨ともわからない女性が皇帝に気に入られて次の女帝になるなんてことが普通に起きる。

国の最高権力者がある日突然失脚、というパターンが延々と続いてきたし、これからも続いていくだろう。(P80)

ロシアのような広大な国を束ねるには強権的君主制が最適だ(エカテリーナ二世、P112)

今の、プーチンのロシアをみてもロマノフ朝とそっくり。されば、プーチンがいなくなったとき、ロシアはどうなるのか・・・