El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

天使と罪の街(上・下)

ハリー・ボッシュ シリーズ(10) 詩人(The Poet)との最後の闘い

前作「暗く聖なる夜」で警察やFBIという組織を離れながらも協力して事件を解決したボッシュとマッケイレブだったが、本作はマッケイレブが移植心臓の不調で死去したところからスタート。

今回の敵は、生きていた「ザ・ポエット」。(これは冒頭で明らかにされるのでネタバレではないが、「ザ・ポエット」は先に読んでいないと本作は読めないと思った方がよい)。マッケイレブの死の疑惑からはじまったボッシュの捜査線とザ・ポエットにおびき寄せられたFBI捜査官レイチェルの捜査線が、中盤で見事に合流。

レイチェルはじめFBI側の官僚主義的で目の前の危機に鈍感な感じと今や警察官でもないのに渋いボッシュとが対比的に描かれる。

読みどころは、荒涼としたネバダの砂漠とトレーラハウスと売春の街のすさんだ風景での転回と、大雨で氾濫するロサンゼルス川での最後の闘いの場面。

私立探偵になって不自由だったボッシュが次作では退職者再雇用制度でLAPDに戻りそうだ。

マイクル・コナリー - Wikipedia