El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

工学部ヒラノ教授のラストメッセージ

アカデミアはどこでも井の中の蛙、なんだなあ

ヒラノ教授シリーズ、2019年1月の刊行。テーマはほぼ東工大を中心としたアカデミズム村の人事を中心としたスッタモンダ、なので東工大の関係者には、記録としてそれなりの意味があるだろう。無関係者にとっては「大学ってたとえ、東大でも東工大でも、学問の裏側でやっている人事的暗闘はどこでも同じだなぁ」という印象。

民間企業のその部分を知っている立場からすると、大学では人事的ルールがクリアではなく、誰の声が一番大きいのかなど、あいまいな部分がありそう。ゆえの、運不運がある。

東工大後半に金融工学に大きく人生を賭けたヒラノ教授。リーマンショックで金融工学が不当に叩かれたことはわかりますが、個人的にはアカデミズムと金融工学はやはりちょっと合体させないほうがいいように思う。大きな金がからむ金融の世界ではアカデミアの住人に想像もできないほど無法なことも行われるし、無法も順法に塗り替えられるから。