El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

美しき免疫の力

ノーベル賞レースでわかる免疫革命

前半の第1部の自然免疫・樹状細胞・サイトカイン・抗TNF-α(レミケード)の開発にかかわるノーベル賞レースと金儲けの話はリアル。私自身30年以上前、大学院である物質のモノクローナル抗体を作ることをやっていたのだが、そこからの30年間の話。

自然免疫も実は1990年代の発見でtoll様受容体がショウジョウバエの研究からヒトにまで拡張されたとは・・・ぼーっとしている間にいろいろあったんだなぁ。

細胞融合によるモノクローナル抗体というとすごくハイテク感がするが、実際は地味な作業だった。そのテクニックの行きつく先に抗体医薬があって莫大な富を築いた研究者がいたとは・・・。

後半の第2部は最近よく聞く話でだいたい知っていた。というか、バイオテクノロジーがここまで社会の中で重要視されるなんて30年前は思ってもいなかった。先を見通すことのむずかしさ。

 (メモ)

 

美しき免疫の力 人体の動的ネットワークを解き明かす | NHK出版 (nhk-book.co.jp)
人体はこんなにも賢い!
ワクチンから癌治療まで、私たちは免疫作用を生かした医療に馴染みが深いが、そのしくみについては謎が多かった。それが近年、飛躍的に研究が進み、驚くほど精密でダイナミックな免疫システムのメカニズムが明らかになってきた。免疫細胞は互いにコミュニケーションをとりながら、人体に有害な異物のみを選んで攻撃していたのだ! 免疫学の最新の知見を紹介する、スリリングな一冊。

目次
第Ⅰ部 免疫学の革命はこうして起きた
 第1章 免疫学の小さなほころび──自然免疫の発見
 第2章 獲得免疫の始動の仕組み──樹状細胞の発見
 第3章 免疫細胞のコミュニケーション──サイトカインの発見
 第4章 免疫システムの暴走──超大型新薬の登場

第Ⅱ部 内なる宇宙に挑む
 第5章 揺れ動く免疫システム──熱・ストレス・リラックス法の影響
 第6章 免疫システムと時間の流れ──体内時計と加齢の影響
 第7章 免疫システムの番人──制御性T細胞の発見
 第8章 未来の薬──がん免疫療法の開発