El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

終決者たち(上・下)

ハリー・ボッシュ シリーズ (11) そこはプリペイド携帯でしょ!

 

Amazon PrimeのBOSCHシリーズが完結し、再度、全シーズン通しで見てしまった。それでも、もっとボッシュの世界に浸りたいと手近で入手できた「The Closers」(終決者たち)を土日で読んでみた。(これを書いたのは2021年7月19日だがシリーズの流れから9月20日で登録しなおしている)

未解決事件と警察内権力闘争がからみあって、未解決事件は解決するのだが、その解決そのものも権力闘争の道具に使われる。

本作は、全ラインナップの中では中盤、⑧「シティ・オブ・ボーンズ」で一度LAPDを退職して私立探偵として⑨「暗く聖なる夜」⑩「天使と罪の街」と二つの事件を解決したボッシュが退職者雇用制度で再びLAPDにもどったところからのスタート。

プロット自体は、真相とは少しずれたところをボッシュが追及し捜査が暗礁に乗り上げたところで意外な気づきから謎が解ける。しかし、解決のキーになった携帯電話。そんなアシがつきかねない他人の携帯を犯人が使うのはかなりご都合主義的では・・・。まあ、読んでいる間は楽しめるし、謎解きだけがボッシュでもないのだが。

この後のながれとしては、コナリーの別シリーズとして「リンカーン弁護士」がスタートするが、これにはすぐにボッシュがからみはじめるようだ。