ちょっと総花的な依存症入門書
文系・社会学系の立場から依存症にアプローチして書かれた入門書。
三部構成で第一部は快感回路や脳内報酬系など依存症の起こる脳内メカニズムが説明され、社会が依存症者に対するときの4つの見方あたりは、理解の助けになる。
- モラルモデル(刑事司法モデル)・・・犯罪化
- 医療モデル(疾病モデル)・・・医療化
- スピリチュアルモデル(12ステップモデル)・・・自助療法
- 認知行動モデル・・・認知行動療法
第二部は、さまざまな依存症を講義のように網羅的に解説しており、タイトルや帯のセンセーショナルな感じとはちがって、いたって普通の依存症おまとめ、という感は否めない。日本発の覚醒剤依存症が1990年代以降、東南アジアやアメリカ西海岸、オーストラリアで爆発的に増えたというのは本書で知った。
第三部が依存症への対策と治療ということで薬物依存がメイン。日本がモラルモデル主義で薬物依存症者を刑務所に入れることが世界的には異様であること。著者が学んで日本に紹介したマトリックス・モデルという治療プログラムのこと・・・なのだがこのプログラムの中身は紹介されていない。
検索してみると結局松本俊彦先生の話に行きつくので・・・なんだかはぐらかされた感じが強い。臨床のリアルがないので、松本先生の本を読んだ方が良かった。
第1回 依存症は厳罰主義では解決しない | ナショナルジオグラフィック日本版サイト (nikkeibp.co.jp)