人生いたることろブラッド・ランドあり
ヒトラーとスターリンの二つの狂気の波が行ったり来たりして夥しい悲劇が起こった地域ブラッド・ランド(いわゆる東部戦線地域)を生きる子供が書いた62の日記風断章。歴史家が俯瞰的にみた歴史ではなく、その悲劇をそのど真ん中で子供の目で見たらこんな風に見える。
そしてこの日記というスタイルが逆説的に、この悲劇がいつでもどこでも起こりえる普遍的なものだという感覚を呼び覚ます。満州で朝鮮で中国でベトナムでアフガニスタンで・・・。
著者は悪童の双子とほぼ同じ時期・場所で少女期を過ごしておりある意味自伝でもある。「ふたりの証拠」「第三の嘘」と続く三部作にすすまずにはいられない。