El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

ともがら

あなたはどちらの老年男に近いでしょう

ともがら(朋輩)

ともがら(朋輩)

 

社会でそれなりに成功して豊かな老後を送ろうと思ってもそううまく行くものではない。主人公は運命的にも経済的にもめぐまれないかっての下宿の同級生と偶然出会う。そいて、彼の苦労が多いが生き生きとした暮らしぶりに嫉妬を感じてしまう。和歌や歌論をスパイスにそういう老年期の男二人のやりとりを鮮やかに抽出している。

来し方行く末を考えてしまう、老年小説、いや述懐歌か。しみじみとした読後感。