El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

つむじまがりの神経科学講義

金魚すくい必勝法など小ネタは面白いが・・・

つむじまがりの神経科学講義

つむじまがりの神経科学講義

 

しばしば挟み込まれる小話ネタやコラムは面白い。ニューロンを中心とした神経解剖学というか生理学の基礎理論も面白い。なのになのに、著者が研究人生のほとんどを費やしてきた記憶のメカニズムは・・・「え、まだそんなレベルなの」というレベルまでしか進んでおらず(進んでいないのは難しいからであってもちろん著者のせいではないのだが)、茫洋としていていかにも一般書にするには無理がある。結局、小話やコラムだけが面白いという本になってしまった。LTPがRISEになるという話もはっきりする日が遠い先にはくるのだろうか、それをめざしている研究者には頭が下がる。一般書読者としては金魚すくい必勝法や猿の惑星など小ネタを拾い読みすることになってしまった。

脳の心