El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

シリーズ中国の歴史 ③ 草原の制覇:大モンゴルまで

部族の興亡が激しすぎて著者の主張が見えない

草原の制覇: 大モンゴルまで (岩波新書)

草原の制覇: 大モンゴルまで (岩波新書)

 

草原には匈奴鮮卑突厥ウイグル契丹西夏女真→モンゴル→女真満州)とさまざまな部族が、あるいは同時にあるいは主役の座を入れ替わりながら出現してきた。このうち鮮卑族が唐を、女真族が金を、モンゴルが元を、満州女真が清を興す。

本書は鮮卑族の唐による一統(7世紀)から元による一統(13世紀)までの草原側から見た中国史。特に、契丹・金が宋を含めた三つ巴の存亡をかけた戦闘・外交に詳しい。元は最後に少しだけの記載。しかし、盟約・闘いがあまりにも多すぎて一般読者には無味乾燥。

このシリーズ①②ではまず著者の主張ありきでそれが面白いのだが、この巻では事実関係の羅列、特に契丹西夏・金の記述が多すぎ・詳細すぎ・聞いたことのない名前のオンパレードでで、主張の部分がはっきりしなくなってしまった。

前巻②にあったように、地方の豪族や役人の多くは誰が皇帝であろうがあまり関係ないんだろうなあ。結局、皇帝(中央政府)はいかに上手に庶民から簒奪するか、ということなんじゃないか。今も同じか・・・