El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

リスクの正体

一編が4ページでは何が言いたいのか伝わらない

 はしがきが8ページあり、ここを読んだときには期待があった。COVID-19や地震をからめて重厚なリスク論が展開されるのだろうと。なんせ岩波新書で「リスクの正体」というタイトルだもの。ところが本文は、朝日新聞の連載らしいが、すべて4ページ完結の時事ネタのさらっとしたエッセイが最後まで続く。途中で「これ、本当に岩波が出したのか」と表紙を確認したほどだ。岩波新書までもが玉石混交となると、タイトルやはしがきだけで買ってはいけないということになる。なぜ朝日新聞出版で出さない?