El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

なぜなぜ世界は存在しないのか

 日本人には・・当たり前なのでピンとこない?

なぜ世界は存在しないのか (講談社選書メチエ)

なぜ世界は存在しないのか (講談社選書メチエ)

 

 一神教世界に育ち、カントやヘーゲルポストモダンと学んだであろう著者が到達した新実存主義というものが日本人にとっては慣れ親しんでいる多元主義的な精神だというのは面白い。逆に、この本でことさらに「新しいんだよ」といわれても、当たり前すぎてピンとこない日本人は多いのかもしれない。
多元主義的で統一的な規範をもたずその場その場の関係性で生きていく、まさに無常である・・・。そこからどうしていくかという学びはこの本の中にあるかもしれない。芸術の章など参考になった。