El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

東京の夫婦

老後の心配・もはや子供をあてにしない時代ですよんよ

東京の夫婦

東京の夫婦

  • 作者:松尾スズキ
  • 発売日: 2017/08/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

私も松尾さんと同じ九州出身で5最年長、妻との年の差は松尾夫妻の半分くらい。認知症の老母を老人ホームでみてもらっています。似た境遇ですね・・・。妻は機会均等法世代で、老後についてはかなりドライで、親にせよ、夫にせよ、自分自身にせよ、すべて基本的には自己責任を原則にライフプランを考えなければならないと思っているようです。

私は母に対してはそこまでドライになれませんし、母の時代は子供が面倒をみるという時代であったでしょう。いっぽうで、自分の老後についてはきっちりプランニングして妻にやってもらうことは最低限にしたいとは考えています。もちろん子供はあてにしません(できません)。私の死後、妻が老後を迎えたときは妻が自分のプランでその日を迎えるでしょう。そのためにはある程度の経済的余裕と医療・介護制度の知識がデフォルトで求められるということでしょうね。

松尾さんの奥様はそこらへん、よくわかってらっしゃるようでうらやましいです。私も松尾さんのように、遠い先にある妻の老後を心配にならないわけではありませんが・・・それを「闇」のように感じてしまうのはわれわれ世代までのことで、妻も含めて若い世代はそれなりの新しい時代を生きているように思います。