El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

失われた時を求めて 13

カバー絵は物語の初めにもどる感じ?

ついに読了、8カ月電車読書で読破・・・レミニセンス

 全巻をPDF化してトリミングするとKindleでちょうど読みやすい状態になる。それを13巻、8カ月かけて電車で読みました。「カラマーゾフ」や「戦争と平和」などとは全く違うタイプの小説、いや小説でもない。

まさにタイトルとおりに過ぎ去った時の記憶が浮かび上がってくる(レミニセンス)、レミニセンスを引き起こす力をもつものが芸術。舞台がサロン文化時代のフランスなので最初は何がなんだか分からない感がある。しかし、訳者に導かれ鹿島茂氏のパリ本も参考にして読みました。

ただ、そういう舞台設定を離れて、例えば自分のこととして考えて、幼い日、青年、壮年、中年と時間が経過していき、その当時の想いが変質したり復活したり、周囲の環境も変化し、皆歳をとり、次の世代が出現してくる、そういういわば生老病死の歳月を、芸術を羅針盤にして生きるということか。まさに、読者が自分の人生を読むべき物語でした。レミニセンスを大切に・・・