El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

権力の日本史

なぜ日本の民主選挙は世襲化するのか?

権力の日本史 (文春新書)

権力の日本史 (文春新書)

 

 世襲(血筋・家柄)重視と実力重視、その関係を追いながら日本史をたどる。全体像が俯瞰できる良書。その先に、戦後の民主選挙以後、とくに21世紀の世襲議員の多さは何を意味するのか考えさせられる。象徴的中心が世襲であることをその存在原理にしている以上、世襲を是とする国民の意識は変えられないのか。官僚・軍人・学者などは当然実力主義なのだが、民主主義の根本たる選挙でえらばれる議員や大臣が世襲化するという国民性はうなづきつつもつらい。