El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

失われた時を求めて 12

失われた時を求めて」全13巻のうち第12巻「見出された時I」を読了。

 サン=ルーの奇妙な同性愛カモフラージュに関する考察があり舞台は第一次世界大戦の戦時体制下へ。シャルリュス男爵のマゾヒスティックな姿。サン・ルーの死。戦時愛国プロパガンダ

戦争が終わって、有名な「敷石に躓いてヴェネツィアを想起する」シーンからレミニセンスと芸術をめぐる思索が続く。思えば、レミニセンスという言葉そのものを認識したのはこの「失われた時を求めて」であった。

モリー(あるいはリメンブランス)の対極にあるレミニセンス。それは歳を重ねないとわからないことなのか。そして歳をとった世界へと最終巻へ。