「失われた時を求めて」全13巻のうち第12巻「見出された時I」を読了。
サン=ルーの奇妙な同性愛カモフラージュに関する考察があり舞台は第一次世界大戦の戦時体制下へ。シャルリュス男爵のマゾヒスティックな姿。サン・ルーの死。戦時愛国プロパガンダ。
戦争が終わって、有名な「敷石に躓いてヴェネツィアを想起する」シーンからレミニセンスと芸術をめぐる思索が続く。思えば、レミニセンスという言葉そのものを認識したのはこの「失われた時を求めて」であった。
メモリー(あるいはリメンブランス)の対極にあるレミニセンス。それは歳を重ねないとわからないことなのか。そして歳をとった世界へと最終巻へ。