El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

統計分布を知れば世界が分かる

体重は正規分布ではありません!

 

正規分布(テストの点数・身長)、べき乗分布(地震の頻度とエネルギー)、対数正規分布(その中間・体重)の「3つの統計分布から世界の構造が見えてくる」というのだ・・・。ランキング・プロットの考え方など統計分布論入門のための良書。

ただし、著者は対数正規分布こそが複雑系の統計的表現と言いたいよう(と読んだ)だが、途中から二重対数正規分布や三重対数正規分布という話になって、「理論があっての現実解釈」なのか「現実があってそれを説明しうる理論づくり」なのか混沌としてきた。さらに、いまさらながらの「複雑系」という用語に、「ちょっと古いのかも?」と思ったりもする。

とは言え、さらに先にすすもうとするとwebで検索しても難しい数式世界になってしまい、この本で「世の中、正規分布だけではおさまらない」ことを理解するだけでも価値はあったのだと思う。