El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

ただの文士

リエーターではなくエディター

ただの文士――父,堀田善衞のこと

ただの文士――父,堀田善衞のこと

 

 父・善衛氏の文章の引用が主体でその間をコメント文で埋めてできた一冊。考えてみれば父・善衛氏の著作も先人著作の引用を中心にすえてその間をコメントで埋めてできているものが多い。いわばエディター。クリエーターで出発した作家も、いつしかエディターになっていく。それはそれで悪いことではない。先人の著作があまりにも多いのだから・・それを自分なりに解釈していくだけでも人生の大半をつかってしまう。グーテンベルグの銀河系に囚われているわれら。