El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

進化論はいかに進化したか

「進化論」ノスタルジー

進化論はいかに進化したか (新潮選書)

進化論はいかに進化したか (新潮選書)

  • 作者:功, 更科
  • 発売日: 2019/01/25
  • メディア: 単行本
 

 遺伝子変異(特に生殖細胞減数分裂の際の組み換えが重要)により子世代が遺伝子的にも形質的にも多様性をもち、これに選択圧がかかり生き延びた者がまた親として多様性をもつ子孫を生み出す。この多様性→選択→多様性の繰り返しの様子をマクロで観察したら「進化」。分子生物学がなかった時代に進化論を発想したことはすばらしいにちがいない。そしていま、CRISPR-cas9の時代に「進化論」論の本がでるというので、「進化論=すでに失われた学問」と喝破してくれるのか・・と、そんな予想のもとに読み始めたが、まったくちがって古色蒼然、著者の進化論ノスタルジーがメインであるような。私の読みが浅いのかもしれないが、人工衛星の時代に地動説の歴史を議論するようなものではないかと感じてしまった。