El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

「天下泰平の時代」〈シリーズ 日本近世史 3〉

 戦後~平成よりも永い平和の100年

5代綱吉、8代吉宗という英君を中心として柳沢・萩原・間部・田沼ら側用人的俊才が固めて100年の平和。島原の乱から幕末までを範囲にいれるとなんと200年以上の不戦期間、これは合衆国の建国から現在までの期間と同じだと思うとすごいこと。この本の終盤では土地開発や農作技術の進歩で食料収穫が増えて人口が増え、都市への人口流入と格差の増大と問題点は出てきているものの、外圧がなかったらもっともっと続いていたのではないか。なぜ永い永い平和が続いたのか、何がすぐれていたのか、そういう観点でのまとめがあってもよかったのでは。