El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

「分裂から天下統一へ〈シリーズ日本中世史 4〉」

秀吉の野望をヌルハチが成し遂げた!

 いわゆる国内の信長・秀吉・家康の政権交代史はこのシリーズではなく「シリーズ日本近世史①戦国乱世から太平の世へ」を読むべき。その一年後に刊行された本書は琉球アイヌ女真、明といった東アジア全体、そしてテクノロジーとしての鉄砲と銀(精錬法)の伝来など、世界史的な視点からの記述が新鮮。朝鮮半島に15万人も派兵したエネルギーはすごい。30年後に女真族がすーっと入れ替わるように明自体を滅ぼしたことを考えると、武力一辺倒の秀吉はしょせん島国根性だったということか。ま、そうはいっても幕末明治期の欧米列強に対する反応力は島国根性があったおかげかもしれず、そんな裏表なところが歴史ですね。

大陸(中国)・半島(朝鮮)・列島(日本)の絡み合う歴史を学びました。