El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

陰謀の日本中世史

陰謀論」論。快著だが市井の歴史好きが求めるものは・・

陰謀の日本中世史 (角川新書)

陰謀の日本中世史 (角川新書)

  • 作者:呉座 勇一
  • 発売日: 2018/03/09
  • メディア: 新書
 

 日本中世の様々な事件(保元・平治から関ケ原まで)の歴史解釈に今もなおはびこる陰謀論をそれぞれ撃破し、学会的通説(通り相場)を教えてくれる。また論争がある部分については呉座さんの解釈を提示しているので、歴史学者のものの考え方の一端を垣間見ることができる。一方で、歴史学とはそういう史料解釈などを通した史実の明確化であり、一般の歴史好きがヒストリカル・イフなどを考えておもしろがるのとは違って、ちょっと味気ない感じも。