イベント・ドリブンではなく、カルチャー・ドリブンな中世史
このシリーズの後、「応仁の乱」「観応の擾乱」なんて新書が出てヒットして、ちょっとした中世ブームが今も続いている。故にブーム前のこのシリーズはちょっと淡白な感じ。中世全体で200ページ強の新書4冊というのは今から思えば無理があったか。「院政」「源平合戦」「前九年・後三年・奥州藤原氏」「鎌倉幕府」「蒙古襲来」「建武の中興」「室町前期」「室町後期」「応仁の乱」「戦国時代」「信長・秀吉・家康」・・とイベントは盛沢山だもの。
なので、ボリュームの制約のせいか、本書は少し視点をずらして書かれている。歴史イベントメインではなく、文化・文学的な流れの中にイベントが織り込まれている。だから、例えば、世阿弥や鴨長明がどういう歴史イベントに関わっていたのかという、これまであまり考えなかったことを気づかされる。
そこが、ちょっと新しい感じがした。