El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

「平安京遷都〈シリーズ 日本古代史 5〉」

万世一系の大変さ・・・

平安京遷都〈シリーズ 日本古代史 5〉 (岩波新書)

平安京遷都〈シリーズ 日本古代史 5〉 (岩波新書)

  • 作者:川尻 秋生
  • 発売日: 2011/06/22
  • メディア: 新書
 

 道鏡事件などの後をうけて即位し、鳴くよウグイス平安京の794年を間に入れて25年という長い在位となった桓武天皇。長期政権の後は不安定政権になるのは世の常、なぜなら長期の間に子供や后を含めて関係者が増えすぎてしまうから。

ここまでこのシリーズを読むと、天皇万世一系が日本史に及ぼしたコストを考える。万世一系を維持しようと努力することで守られた部分もあれば、そこをめぐっての争いも多かった。

中国のように王朝ごとにリニューアルされる場合と比べたとき長短いろいろあるだろう。が、生まれてこの方、日本人であるということは、万世一系以外のことを考えにくいのもまた事実。一つの制度ではあるのだろうが、歴史の重みを感じる平成の終わりでもある。

この後、万世一系摂関政治院政・武士の台頭・鎌倉幕府と続いていく。