戦争が日本を平等社会にしてくれた・・・本当か?
1945年の敗戦から55年体制の始まるまでの10年間。ここまでの7巻の中で、自分の中の歴史認識との違いがもっとも大きいのがこの10年間だった。学校では年度末で尻切れトンボの授業でお茶を濁される部分。
まず、目からうろこは、戦時体制以前はかなり不平等な社会だったということ。貧富の差が激しかった。その不平等社会が是正されたのは戦時体制のおかげということ。総力戦体制によって社会関係の平等化、近代化、現代化が進行した・・・と。わたしにはそれまでの不平等社会への認識が足りなかった・・・というか本当か?結果論?
この自由派(資本家層)と平等派(軍部→社会主義・共産主義)のせめぎあいは戦後も続く・・・と、ちょっと戦時総力戦体制を持ち上げすぎのような。
もうひとつは、「無条件降伏サクセスストーリー」。戦争の後に講和ではなく無条件降伏させて、勝者がまるで育ての親のように敗者の新国家建設を指導する、それが一見、すごくうまく行ったように見えたのが日本の占領。本当は日本人がストーリーにのっかるという前提があってこそのサクセスであったのに、アメリカは、このあと、ベトナムや中東で違う前提条件のなかで「無条件降伏サクセスストーリー」をもとめては失敗する。
「無条件降伏サクセスストーリー」は日本国内的には、独立した国としての戦争の精算をさせない結果になってしまった。このため永続敗戦論みたいな話になっている。