El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

ブックガイド(23)ガラガラポン・・に負けない!

 ——ガラガラポン・・に負けない!——

気楽に読める一般向けの本で、アンダーライティングに役立つ最新知識をゲットしよう。そんなコンセプトでブックガイドさせていております。査定歴21年の自称査定職人ドクター・ホンタナ(ペンネーム)です。今回のテーマは「リスク論」。タレブの新作を取り上げます。タレブと言えば2009年の「ブラック・スワン 不確実性とリスクの本質」がベストセラーになりました。え、読んでない!?保険に関わっているなら「ブラック・スワン」は必読書です(映画のブラック・スワンとお間違えないよう)。

以前にも書きましたが、保険の数理といいますか統計は一定の傾向の継続を前提にしています。しかし、2009年タレブがベストセラー「ブラック・スワン」で提起したのはそんな継続性が断ち切られるような「不確実性=ガラガラポン相転移)」に満ち満ちた世界でした。では不確実性の世界で我々はどうやって生き延びていくのか、その実践編ともいえるのが本書、「反脆弱性」です。この本の魅力はカバーにしっかり書かれているのでそのまま引用しても魅力がよく伝わってきます。

(上巻)リーマン・ショックアラブの春地震津波、そして原発事故・・・。昨日までは「ありえない」「絶対ない」と言われた事象が今日、現実のものとなる不確実な世界。ではどうすれば、ビジネスから、政治、医療、生活全般まで、ランダムで、予測不能で、不透明で、物事を完璧に理解できない状況でも、不確実性を味方につけ、したたかに生き延びていくことができるのだろう。

(下巻)経済、金融から、教育、テクノロジー、食事、健康、果ては人生や愛までー。世界最高の哲人タレブが、ありとあらゆる事象に潜む「脆弱性」と「頑健性」そして「反脆弱性」について語り尽くしたとき、ついにこの不確実な世界のバランスを崩す“犯人”が明らかになる。

どうです、読まずにはいられないでしょう!医療や保険も題材としてふんだんに取り入れられているので興味倍増で理解しやすい。タレブの本はダイアモンド社が出版しているためか書店ではビジネス書の棚にありますが、哲学的でもあり、啓蒙的でもあり、「ビジネス書なんて・・」と言わず手にとって読み始めてください。繰り返しますが、「ブラック・スワン」とともには保険業界人必読の書です。アンダーライティングをするには非線形の思考力が必要だということもよーくわかります。(査定職人 ホンタナ Dr. Fontana 2018年6月)

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