だから今を生きるしかない・・(2019/1/29死去 追悼)
なるほど10歳ごと歳のはなれた6人の男性主人公をその父母・祖父母・子とからめながら日本史をたどれば、読者だれもが自分をそして自分の親や子を登場人物に仮託して、明治末から現代までの日本の100年史をまさに「自分ごと」として読める。ああ、あの頃、自分の父母はどういう青春を送っていたのか・・なんてことが、わかったような気になれる。プロジェクトとして面白い。
だんだん人物が錯綜してくるので思わず年表作りたくなるが、そこまですることはなかった。結局、個人は歴史の流れに身を任せて生きるしかないということか。振り返って過去を見れば、ああだこうだ言えるけれど、今を生きる自分には、いろいろ良かれと思って行動してもそれが未来にどういう結果をもたらすかわかりはしない。そういう未来にたいする無力感、しかしそれゆえの「今を生きる」ことの意味をじんわり感じた。
2019年1月29日追記 本日、橋本治さん死去されたとのニュース。PR誌「ちくま」で闘病を書かれていましたが、残念なことです。ご冥福をお祈りいたします。直前までの執筆活動、おつかれさまでした。