El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

幕末・維新―シリーズ日本近現代史〈1〉

侍たちの会議力・・・!

幕末・維新―シリーズ日本近現代史〈1〉 (岩波新書)
 

 日本史もいろいろ新しいことがわかってきて、過去の通説が否定されるなんてことが頻繁におこっているので、一度、最近の研究者が書いた日本史を通しで読みたい・・ということで岩波新書のこのシリーズに取り組むことに。とはいえ、この近現代史は全10巻の最後が2010年の刊行であり東日本大震災はまだ起こっていない。そう考えると、時の流れの容赦なさを感じる。

本書はペリーから西南戦争あたりまで。西南戦争の経験で国民軍としての日本軍ができあがっていったことなど、高校の教科書では知りえないネタがたくさんある。幕末は本当にいろいろな対立軸の中での方針転換のポイントがあるが、そこでの侍の会議を仕切るテクニックはすごい