El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

工学部ヒラノ教授の介護日誌

緻密さ用意周到さが家族を苦しめてる?

工学部ヒラノ教授の介護日誌

工学部ヒラノ教授の介護日誌

  • 作者:今野浩
  • 発売日: 2016/02/26
  • メディア: 単行本
 

ヒラノ教授というか著者は、それが仕事でもあったからなのだろうが、緻密な予測を行い、それに基づいた実行計画をたて、それを着実に実行しようとする。子育てや夫婦関係では、父親・夫の計画を押しつけられる子どもや妻はさぞ辛かったろう。他人事ではなく、「自分はこういうことが得意で長所でそれで世の中を渡ってきた」という、まさに得意なそのことが家族を苦しめるというのは確かにある。緻密さ用意周到さで先回りされたら家族は辛いよね。仕事ができる男はそういう宿命を背負っているのかもしれないが。