El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

夫・車谷長吉

絵手紙と旅と記録 何か形にし続ける執念を持ち続けたい

夫・車谷長吉

夫・車谷長吉

 

 文章が上手で引き込まれるように一気に読んでしまう。著者がことばをあつかう人ということもあるだろう。

これまで読んできた車谷のかずかずの作品の成り立ちや背景、トラブル、さらにはそのときの夫婦それぞれの精神状態などまで語られる。作品を再読したくなる。まあ、しかしこの夫に付き合って生きるのもまた大変だっただろう。度量が大きい奥さんだ。

文筆家はよく旅をすることに驚いた。その旅が夫婦にとってよかったということか。ある種の義務的な旅を人生に盛り込んでおくことは大事だ。さらに作品であったり、絵手紙であったり、日記であったりの記録が残されているということも。凡人には作品は無理でも、旅と日記、そして消えてなくならない手紙・・・それらを大事にしていきたいな。