El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

ブックガイド(8)肥満学習にNHKはいかが?

——肥満学習にNHKはいかが?——

加速する肥満 なぜ太ってはダメなのか

加速する肥満 なぜ太ってはダメなのか

 

気楽に読める一般向けの本で、アンダーライティングに役立つ最新の医学知識をゲットしよう。そんなコンセプトでブックガイドをおとどけしています。査定歴20年の自称査定職人ドクター・ホンタナ(ペンネーム)です。引受査定していると、ここ数年100キロオーバーの体重が決してめずらしくないですよね。私が査定を始めた20年前には体格で条件付というのは比較的まれだったのに、いつからこんなことに。確かに、町なかでも病的肥満(?)を頻繁に目にするようになりました。

そんなわけでいくつか肥満本を読んでみました・・・が、どうもピンとくるものが少ない。岩波新書「人はなぜ太るのか―肥満を科学する」(岡田正彦 2006年)、ブルーバックス「食欲の科学」(櫻井武 2012年)、それに今回タイトルがセンセーショナルということでトップにあげた「加速する肥満」、BMIの話、レプチンやアディポネクチンの話、糖質ダイエットの話、さまざまなバリエーションはあるものの、どれも「膝を打つ」ほどのインパクトはありません。どの本にも書かれていることは「肥満の研究はむずかしい」ということ。あまりにも関わる要素が多すぎ、くっきりとした因果関係を明らかにすることができないというわけです。人類は、「飢餓の時代」→「充足の時代」→「肥満の時代」へと進んでいるわけですが、同時に科学・医学の進歩もあるので、肥満=短命とはいかないところもまた難しい。

「むずかしい、むずかしい、わからない」ではブックガイドになりません(まあ冒頭に挙げた「加速する肥満」をざっと読めば十分でしょうが)ので、今回のテーマにぴったりのテレビ番組を緊急告知しておきます。NHKスペシャル「シリーズ人体」の第2集 「“脂肪と筋肉”の会話がメタボを治す」(2017年11月5日(日)21:00~)です。10月からはじまった全8回のこのシリーズ、映像的にはなかなかのできで、アンダーライティングをされている皆さんにはお薦めです!まだ放送前ですが肥満に関わる11月5日の番組を是非みてみようではありませんか。(査定職人 ホンタナ Dr. Fontana 2017年10月)

関連本・サイトなど
NHKスペシャル「シリーズ人体」

人はなぜ太るのか―肥満を科学する (岩波新書)

人はなぜ太るのか―肥満を科学する (岩波新書)

  • 作者:岡田 正彦
  • 発売日: 2006/12/20
  • メディア: 新書
 

 

食欲の科学 (ブルーバックス)

食欲の科学 (ブルーバックス)

  • 作者:櫻井 武
  • 発売日: 2012/10/19
  • メディア: 新書