El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

カルタゴ 消えた商人の帝国

 服部伸六という書斎人

カルタゴ自体にも興味はあるのだが、これを書いている服部伸六という人の経歴を調べてみると思しろい。串間の出身、詩作もやりながら、外務省勤務(キャリアではなく、アフリカや中東の大使館員といったところを回っていたようだ)しながら、仕事で滞在した地域の文化や歴史を調べて文章を書くということを繰り返していたようで、このカルタゴもそうした活動の成果といえる。

服部伸六氏もいずれは忘れ去られていく人物か、すでに死後20年である。彼の著作や人生を調べてみるのもまた一興か。
彼の情報はネットでもそれほど多くはないが🔗 🔗

服部伸六 年譜】
1913  宮崎県 串間市に生れる。
1932  新洋画研究所 中山たかしの指導を受ける。この頃シュルレアリスムを知る。
1933  独立美術展入選 福田一郎の指導を受ける。
1934  慶応大学仏文科 「処女懐胎」を翻訳する。
1937 「新領土」創刊同人 編集人・上田保(慶応の先輩)
1939  外務省入省 仏領インドシナへの赴任を期待する。
1939  徴兵 兵役4年、「北支那山西省へ連行され服役。大行山脈を中心に銃を肩にしての散歩」 岩波文庫万葉集・下」を持っていく。
1945  戦後、宮崎に帰る。詩誌「南方手帖」を発行する。誌名は南仏の出版社から拝借している。
1961  外務省に復帰 中近東アフリカ課
1964  「詩学」にアフリカ詩人の詩を翻訳。
1965  象牙海岸共和国に赴任 「月刊アフリカ」に「アフリカその日その日」を寄稿。これは後に「アフリカ陽気暮らし」にも採録される。油絵を再開する。海で毒クラゲに刺され、死にかけるが、若いフランス人医師に助けられる。
1969  レバノン赴任 カルタゴ研究を始める。
帰国 エメ・セゼールなど黒人詩人の研究。
1974  中央アフリカ共和国赴任 代理大使。
ロッコ赴任
1978  外務省退官
1979~ 大東文化大学仏語講師
1998  死去
【著書・訳書】
『ヒクメット詩集』 中本信幸との共訳 飯塚書店 1961
集中の「死んだ女の子」は外山雄三などの作曲家により歌曲となり、多くの歌手に歌われている。
最近では、元ちとせ「ハナダイロ」(初回版)にも収録。
処女懐胎』 アンドレ・ブルトンポール・エリュアール共著 思潮社 1963(新装版1994年 ISBN 978-4-7837-2754-5)
『現代フランス詩論大系』 思潮社 翻訳2本
『生刑執行』 思潮社  1974.4  A5判 128p
服部伸六詩集』 宝文館出版 (昭和詩大系) 1977/08出版 187p 19cm
『黒人売買の歴史』 たいまつ社 (たいまつ新書) 1977/09出版 222p 18cm ISBN 978-4-7522-0123-6 NDC:316.84
アラゴン選集』(全3巻) 大島博光・嶋岡晨との共訳 飯塚書店 1978.12~
『パリの夢 アフリカの夢』 服部伸六詩集 飯塚書店 1980/01出版 139p 18cm ISBN:9784752201236
『飢餓の証人 世界を翔ける農学者』 ルネ・デュモン 三一書房 1983/03出版 1983年01月 発行 378p 20cm  ISBN 978-4-380-83219-2 NDC:611.3
『アフリカ陽気暮らし』 三修社(文庫) 1984/08出版 226p 15cm ISBN 978-4-384-06977-8 ISBN:978-4-384-06977-8 NDC:302.4
「月刊アフリカ」連載をまとめたもの。
『詩を生きる ギュヴィック自伝』 ユ-ジェ-ヌ・ギルヴィック 青山館 1984/11出版 302p 20cm NDC:951
『カイエ・ド・コニヤック ワインを焼いた男たち』 現代企画室 (PQ books)  1985年06月 発行 231p 19cm ISBN 978-4-7738-8505-7 NDC:588.57
『脱集団化へ向かう中国』 ルネ・デュモン 社会思想社 1986/06出版 354p 20cm ISBN 978-4-390-60289-1 NDC:611.022
カルタゴ 消えた商人の帝国』 社会思想社 (現代教養文庫) 1987/03出版 265p 15cm ISBN:978-4-390-11194-2 NDC:243.2
『レオ・アフリカヌスの生涯 地中海世界の偉大な旅人』 アミン・マアル-フ リブロポ-ト 1989/09出版 484p 20cmX14cm ISBN:978-4-845-70432-3 NDC:953
『アフリカ歴史人物風土記社会思想社 (現代教養文庫) 1993年11月 発行 192p 15cm ISBN 978-4-390-11515-5 NDC:240  「月刊アフリカ」連載
種田山頭火とジェルマン・ヌ-ボオ』 宝文館出版 1993/12出版 191p 20cm ISBN:978-4-832-01429-9 NDC:911.36
【展覧会】
1982  二人展 森画廊 宮崎市
1984  個展 「アフリカ・地中海の光と影」檜画廊 神田
1987  個展 「世界のシジマとザワメキ」三真堂 銀座
1990  個展  みやはら画廊 宮崎市
1991  個展 「油彩展」ぎんざ昭和画廊 銀座
1993  個展 「忘れ難い光たち」アトリエ夢人館 八重洲