El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

感情教育

フレデリックはわたしだ

感情教育〈上〉 (岩波文庫)

感情教育〈上〉 (岩波文庫)

 
感情教育〈下〉 (岩波文庫)

感情教育〈下〉 (岩波文庫)

 

 フローベル「感情教育」読了する。途中、あまりの煮え切らない人々の多さに辟易していたが、結局人生とはそんなものという形に終盤を迎え、幼馴染と語り合う中年になった主人公はまさに自分だ。ボヴァリー夫人は私だ、と同じように、フレデリックも私だ。そう思わせるフローベルはさすが。

出世、恋愛、金銭、見栄、様々な要素と時代の中で、希望を持って生きても、抜きん出て上手く生き抜かなければ、つまり大多数の上手くない人間は、ボヴァリー夫人でありフレデリックでありアルヌー夫人でありー。