El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

神戸の本棚

神戸・・終の住処か

神戸の本棚

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  • 作者:植村 達男
  • 発売日: 1986/10/01
  • メディア: 単行本
 

神戸に関わりのある、本・作家・作品、それに著者自身の思い出などが軽い感じで書かれている。しかし、微妙にトゲのある表現もあり、著者は意外と皮肉屋かもしれない。

見知らぬ街神戸に移住することを決めて、すでに半年は別荘がわりに暮らしているので、自分の中には神戸への親和性を高めたいという思いがある。

月一回のペースで一回に4-5日滞在するようになって感じるのは、当然ではあるが神戸も多様であるということだ。特に六甲と大阪湾・播磨灘に挟まれて東西に長く、住居である住吉はほぼ東の端で中央の三宮を挟んで西の端である垂水のあたりまでさまざまな様相を呈している。なおかつ、その東西のベルトには山側・海側・その中間という高低差による違いが主には阪急・JR・阪神という鉄道路線で形作られている。人々の流動性はあるものの、東西と南北の多様性がつくる「ゆるいブロック」が神戸の特徴なのだろう。まずはそのブロックをぼんやりと理解すること。