El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

デジタルは人間を奪うのか

デジタルの限界をちらりと教えてくれる

デジタルは人間を奪うのか (講談社現代新書)

デジタルは人間を奪うのか (講談社現代新書)

  • 作者:小川 和也
  • 発売日: 2014/09/18
  • メディア: 新書
 

デジタルには「無から何かを作り出すこと」は(今のところ)できない。複雑化していけば一見何かを創造しているかのように見えるが、それは巧みなコピペが見つからない場合と同じことで、結局はパターン認識や統計分析やプロセス制御でしかない。最先端や創造や思いつきはヒトが考えるということだ。本書に引用されていた20年後にデジタル化によってなくなる仕事、なくならない仕事Top20も概ねそういったことを反映している。スマホ依存、ネット依存で既知情報だけが通り過ぎて行く人生からはWhat's Newは生まれないということ。教育を子どもが人類の現時点レベルにまで達する作業と考えればデジタルは教育には有用だろう。しかし、その過程で自分ではものを考えない副作用におかされないように、常にWhat's Newを探求することをも教え続けなければならないということだ。ざっと読んで、こうして自分なりのまとめをレビューとして書くことも少しはその訓練になるのかしら。