El librero la Fontana・ホンタナ氏の本棚

人生の最後を一番美しく過ごすのは、いつの日か、田舎、といっても町からあまり離れていないところに隠居し、今までに愛読した何冊かの本を、もう一度、書き込みなどしながら読み返すことだ。           (アンドレ・モーロワ「私の生活技術」より)

黒い雨

黒い雨 (新潮文庫)

黒い雨 (新潮文庫)

広島原爆の悲惨さを文学化。被爆の記録は色々あるのだろうが、それを書く人を書くという二重性をもたせて、その表現に井伏らしさをだしている。まあ、原爆という事実があまりにも重いので読み手はどうしてもそちらに意識がいってしまう。「子ども部屋」のために家を建てるな、と副題にあるように、壮年時代の家作りが老年期にどう失敗につながるかがいろいろなパターンで書かれている。まずは、自分が終末にむけた定常状態にならないかぎり家を買わないことにこしたことはない。著者は建築家なのでさすがにこの結論は書いてはいないが、結局はそこにつながる。
死ぬための教養(新潮新書)

死ぬための教養(新潮新書)

夜中に2時間ほどで読んでしまった。死を意識し始めた中高年のためのブックガイド。本を読んで死に関する教養を身につけることで死の恐怖を克服できる・・か?という答えのでない問いかけ。ブックガイドとしてはおもしろい。以下、本書でチェックしたもの。

佐川章「大往生事典−作家の死んだ日と死生観」(講談社+α文庫)
・養老猛「唯脳論」(ちくま学芸文庫
・東島和子「死因事典 人はどのように死んでいくか」(講談社ブルーバックス
宗左近「私の死生観」(新潮選書)